そばの生産とこだわり ~高品質なそばづくりのために~
1970年代(昭和40年)代に米の減反政策が始まり、米の代替作物としてそばの作付けが本格的に行われるようになりました。幌加内町の冷涼な気候、昼夜の寒暖の差、日中の気温上昇を穏やかにする朝霧などの自然条件がそば栽培に適していたこと等から作付面積が増え、1980年(昭和55年)に日本一になりました。
今では、作付面積が3,200ヘクタール、生産量も2,900トンを超えるほどになりました。「幌加内そば」は、地域団体商標の登録を行うなど、日本一のそばの里として、加工品づくりにも力を入れています。
幌加内のそば栽培
そばの栽培は5月頃から作業が始まります。6月に播種を行い、7月下旬~8月上旬には白い可憐な花が咲きほこり、9月上旬に収穫シーズンを迎えます。
よりよい味や風味、品質を維持し、安定生産をめざすためには、そば畑の状況に応じた施肥量加減による土壌管理、雑草や病害虫の防除、かん水や排水対策なども欠かせません。
そばの収穫時期は、そば実の黒くなっていく割合(黒化率)で判断されます。収穫方法によって変わりますが、この収穫適期の見極めが品質を左右する大きなポイントになります。雨、霜などで品質が低下するので、収穫する日の気候にも気を配っています。
きたそらち農協幌加内支所そば生産者部会
JAきたそらち農協幌加内支所そば生産者部会では、生産の組織化による統一した品質管理と共販体制の推進、生産技術の向上の活動等を進めています。2003年(平成15年)には、高品質・安定生産に向けた取組みが評価され、日本農業賞の集団組織の部で大賞を受賞しました。
そばづくりの5つのこだわり
1.畑づくりのこだわり
そばは、畑作物の中で最も湿害に弱い作物。長雨が続くなど畑の排水が滞ったら、そばはたちまちダメージを受けてしまいます。また、長期連作による収量および、品質低下を回避するための土地改良などを行っています。
1)暗渠排水の施工
そば畑の土の中で排水がスムーズに行えるように暗渠排水を整備しています。
2)緑肥の導入
間作緑肥として、赤くローバーを栽培し、 土壌改良を行っています。
2.収穫へのこだわり ~そばの収穫時間を制限しています~
収穫時間は、原則正午0時から4時とし、そばにつく余計な水分を極力蒸散させ、より速やかな調製作業を行っています。
3.調製のこだわり(そば日本一の館、日本一のそばの牙城の運用)
収穫したそばの実(以下、玄そば)は、そばの乾燥調製施設に一元集荷され、玄そばの品質を均一に管理します。乾燥にあたっては、急速な高温乾燥では風味が低下するため、ここでは、自然乾燥に近い除湿マドラー通風乾燥方式の乾燥を行っています。風味が損なわれないよう、1次→2次→仕上げと3段階の丁寧な乾燥をし、風味を維持しています。
1)そば乾燥調製施設「そば日本一の館」
2)そば乾燥調製施設「そば日本一の牙城」
そばの作付面積が増えていくなか、生産されるそばを適期に収穫し、乾燥調製するため、「そば日本一の館」のみでは、乾燥調製能力が不足することから、2012年(平成24年)に「日本一のそばの牙城」を建設しました。
4.保存のこだわり利雪型低温倉庫「雪乃御殿」
そばは、穀類の中でも特に風味が重要視されているので、品質を低下させずに保管するため、当町の豊富な雪資源を活用する、穀類専用の多目的倉庫「雪乃御殿」を2014年(平成26年)に建設しました。
5.加工へのこだわり
1)幌加内町農産加工センター
1989年(平成元年)に町農産加工センターが完成し、そばの加工が本格的に始まりました。町内では、石臼挽きのそば粉生産が盛んで、町内の重要な産業の一つとなっています。
2)そばむき実加工工場「そばの実工房」
2013年(平成25年)、町内でのそばのさらなる付加価値向上をめざし、玄そばの殻を取って、むき実に加工する「そばの実工房」が稼働しました。